岡本太郎が帰国後、目の当たりにしたものは、奈良時代の仏教美術をはじめ、「日本の伝統」として今日恭しく語られている芸術のほとんどが、中国大陸や朝鮮半島から輸入された文化のこぢんまりとした亜流でしかなかったという事実であった。
そして、その価値と権威を支えているシステムの中に、現在に至るまで日本が抱える一種の「奴隷根性」的心性を見出し、絶望感に苛まれる。
そんな太郎にとって、51年の縄文土器との出会いはまさに青天の霹靂であった。
その奇怪さ、野蛮さ、力強さ。
太郎はそこに、原初的な美の力を看取する。